2026年6月30日

会長就任に際して  俵 英嗣 新会長

ステンレス協会 会長
俵 英嗣
(JFEスチール株式会社  常務執行役員)

この度、ステンレス協会の第92回定時総会におきまして、会長に就任いたしましたので一言ご挨拶を申し上げます。

足元の世界情勢は、中国経済の減速、米国をはじめとする保護主義的な通商政策の動きに加え、中東情勢の緊迫化など地政学リスクの高まりにより、エネルギー・資源・資材・物流を含めたサプライチェーン全体に不確実性が拡大しており、これまで以上に先行きの見通しが難しい状況にあります。

こうした環境のもと、ステンレス鋼の世界需給においては、生産能力の拡大と需要の伸びの差が顕在化し、公正な競争環境の確保が一層重要な課題となっております。ステンレス鋼においてもアンチダンピング措置の議論が各国で進み、米国を始めとした関税施策の継続や欧州におけるCBAM(炭素国境調整措置)の導入など、通商政策と環境規制が複雑に絡み合い、グローバルなサプライチェーンと貿易のあり方に大きな影響を与えております。我々としてもより戦略的な対応が求められていると認識しております。

一方で、国内のステンレス鋼需要は、人口減少や建築市場の成熟化により伸び悩みが見られるものの、半導体、データセンター、再生可能エネルギー、水素・アンモニア関連設備、医療など、高機能・高耐食性が求められる分野においては、中長期的な成長と需要拡大が期待されております。加えて、老朽インフラ更新や省力化投資も、今後の重要な需要基盤になるものと考えております。また、海外においては、アジアを中心とする新興国の都市化・インフラ需要は引き続き成長が見込まれます。

ステンレス鋼は耐食性、耐熱性、強度、意匠性など多彩な機能に加え、リサイクル性に優れた素材であり、ライフサイクル全体の社会課題解決に資する重要な役割を果たします。我が国のステンレス鋼産業は、その最先端の研究開発と製造技術を結集した高機能商品をはじめとした多種多様な品揃えと、商社、流通、加工など関係する全ての方々で築き上げてきたサプライチェーンにより、国内外のマーケットにこれからも貢献し発展していくと確信しています。

ステンレス協会は、昭和34年(1959年)の設立以来、ステンレス鋼の市場開発活動や調査統計事業、標準化事業などを行い業界の発展に貢献して参りました。これらコア事業の強化とともに、通商・環境など外部環境への対応力を高め、会員各社と連携し、持続的に成長できる基盤づくりを進めてまいります。

また、worldstainless等の枠組みを通じて国際動向の把握に積極的に取り組み、我が国ステンレス鋼産業の価値と取り組みを世界に発信し、グローバルの中で健全なステンレス鋼産業の発展に貢献してまいります。

最後になりますが、会員各社の皆様をはじめ関係各位のご指導とご支援を賜りますようお願い申し上げ、会長就任のご挨拶とさせていただきます。

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